おひとりさまひとりごと日記

40代独身女性のおひとりさま独白

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挫折を経て、猫は丸くなった

川端康成の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」っていう書き出し、言うまでもなく素敵ですよね。私の敬愛する山田風太郎先生も「こういう書き出しが書けるようになりたい」的なことをエッセイでおっしゃっていたような…(かなりうろ覚えなので間違っているかもです。すみません)

秀逸な書き出しは一瞬にして私たちの心を掴み、豊かな物語の世界に導いてくれるものですが、書き出しによって私たちの中に広がった世界が、物語を読むにしたがってひとつの結末に向かって限定されてしまう…。寂しいですよね、ええ、寂しいです。この寂しさを解決するのが、「書き出し小説」です!書き出ししかないのでこの後は自由に想像して楽しんでねという素晴らしい作品集。私のお気に入りは

「メールではじまった恋は最高裁で幕を閉じた」

です。恋のはじめから終わりまでをノンストップで語ってくれそうな小説のイメージ。私もこんな恋がしたいわーと思うかどうかは、ちょっと微妙ですね。

「『貴女はもう、忍ばなくていい』そう言った彼は花嫁のベールを上げるかのように、私の頭巾をそっと外した」

も忍者ラブで素敵ですね。こっちは涙なしには読めない純愛ラブストーリーなんじゃないかしら。忍びだけに、裏切りに裏切りを重ねた壮絶な物語の可能性もありますが、そこは自分の想像で好きなようにストーリー展開できるのが書き出し小説のよいところ!ちなみに本日のタイトルの「挫折を経て、猫は丸くなった」は書き出し小説の続編です。